【ウマ娘】エイシンフラッシュから振り返る標準ドイツ語文法(続かない) 形容詞の格変化 中性名詞編 【ドイツ語】
ウマ娘では今日育成ウマ娘としてエイシンフラッシュが実装されました。Twitterを眺めている限りではツインターボあたりと同じくらい実装が多くのトレーナーによって待たれていたウマ娘なのではないかと思っています。
史実の方のエイシンフラッシュがドイツからの持ち込み馬ということもあり、ウマ娘の方ではディアンドルを模した勝負服を身にまとい、キャラストーリーの各チャプターのタイトルや育成イベントなどにドイツ語による表現が見受けられました。
秒刻みのスケジュールを組み、想定外の出来事をよしとしないエイシンフラッシュ。ただ、固有スキルの名称ではとても些細なのですが「あれ?」と思う箇所が。
日本語にすると「黒い剣」ないし「黒剣」などと訳されるでしょうか、形容詞schwarz「黒い」が名詞 Schwert 「剣」にかかる形になっています。
ドイツ語では、次のように単に形容詞を叙述的に使うだけなら語形が変化することはないのですが、
(1) Das Schwert ist schwarz. (その剣は黒い)
engl. The sword is black.
一方で形容詞が名詞の直前に置かれ、名詞を修飾する場合、名詞の格(主格・属格・与格・対格、日本語だと「~は」「~の」「~に」「~を」だとイメージが掴みやすいかも)、そして冠詞(英語のtheとかa)があるかないかでそれぞれ語尾が変化します。
(2) das schwarze Schwert (その黒い剣[は/を])
engl. the black sword
Schwertは中性名詞ですが、中性名詞を修飾する場合の形容詞の変化は次のようになります。まとめている間に自分でも怪しくなってきたので間違いがあれば指摘のほどよろしくお願いします。
改めてエイシンフラッシュの固有スキル"Schwarze Schwert"を見返してみます。Schwertにはまず冠詞がなく(無冠詞)、おそらくは主格。ただ、中性名詞を修飾するとき、形容詞schwarzの語尾が-eになるのは表のようにSchwertが定冠詞を伴っているときに限られます(女性名詞の時は冠詞の有無関係なく主格/体格の時は語尾が-e)。
よって冠詞を伴わない今回の場合、実際はSchwarzes Schwertになる可能性が高いです。もしかしたら後々修正が入るかもしれない、保健室にスリッパを戻しに行くように。
ただ形容詞の格変化はある程度ドイツ語を勉強していても口頭で間違えることは少なからずある(あった)ので、これを機にschwarzとSchwertを用いた文を以て振り返ってみたいと思います。一緒に解いてみましょう。[ ]には何かしらの変化語尾が入ります。
(3) Das schwarz[ ] Schwert blitzt.
その黒い剣はきらりと光る。
(4) Sie hat ihrem Trainer das schwarz[ ] Schwert in die Brust gestoßen.
彼女は自分のトレーナーの胸にその黒い剣を突き刺した。
(5)Mit dem schwarz[ ] Schwert zeigt sie ihre potenzielle Fähigkeit.
その黒い剣を以て彼女は自身の潜在能力を発揮する。
(6) Es war einmal ein schwarz[ ] Schwert.
むかしむかしあるところに1本の黒い剣があった。
1文ずつ見てみます。
まず(3)ではDas schwarz[ ] Schwert「その黒い剣」には定冠詞dasがついている&文の主語になっているので定冠詞あり+主格、よってDas schwarze Schwert となります。
(4)のdas schwarz[ ] Schwertも定冠詞dasが付いています。ここでは「黒い剣を」ということで対格。しかし形としては定冠詞あり+主格と変わらず、 das schwarze Schwertです。
(5)はmit dem schwarz[ ] Schwertで「その黒い剣を以て」となり、また定冠詞が付いています。前置詞mit (英語のwith)は与格の名詞を取るので、定冠詞あり+与格で dem schwarzen Schwertとなります。
(6)のEs war einmal...はグリム童話などで見る語り出しです。このein schwarz[ ] Schwertは実質的な主語名詞ということで「ある黒い剣が」となり、主格です。ただ今回くっついている冠詞は不定冠詞であるため、ein schwarzes Schwertとなります。
普段アニメはあまり観ないのですが、ドイツ語圏のキャラクターが登場する機会はチラホラ見かけるので、『ウマ娘』でも競馬にとどまらず、エイシンフラッシュを通じてドイツ語沼へも一人でも多くのトレーナーが引きずり込まれればと思います。
以上になります。秋にユーバーレーベンとシュネルマイスターがレースで走る姿を見るのが今から楽しみです。